アンチエージング

アンチエージング

4.ダイエット関連

私が医師である以上不健康なダイエット法は推奨する事はできません。
楽をして痩せる方法は絶対にあり得ない事をまず認識して下さい。
別枠で参考までに危険なダイエットについても解説しました。

 1) ダイエットのポイント
 2) ダイエットの意味
 3) 食事摂取のポイント
 4) 脂肪燃焼のポイント
 5) サプリメント活用法

     の順でお話ししていきます。参考として注意を要する危険なダイエットも解説しました。

1)ダイエットのポイント


 A)摂取カロリーを制限する事
 B)消費カロリーを増加させる事

 この2点に集約される事は皆さんお分かりだと思います。
 したがってA・Bを如何に効率よく実践するかが、勝負です。
その為のヒントになる事をサプリメントの有効活用も交えて述べていきたいと思います。

2)ダイエットの意味
まず最初に考えて欲しいのは、ダイエットが必要になった人は体に脂肪を蓄積し過ぎた結果であると言う事です。つまり摂取したカロリーを消費しきれなかった結果が太り過ぎである事をまず認識して下さい。
そして必要以上のダイエットは若い間は異常を認めませんが、将来骨粗しょう症や筋肉萎縮等を引き起こす可能性が非常に高く、絶対に控えて欲しいと言う事です。今日のような病的なダイエットブームは将来寝たきりになる女性が激増する事を示唆しています。
くれぐれも必要以上のダイエットはやめましょう。
ここでは健康的なダイエットの為のいくつかのポイントを述べていきます。

3)摂取カロリー制限;食事摂取のポイント
まず摂取カロリーの制限が第一課題ですが、私は朝食・昼食はいくら食べても良いと言うのが持論です。特に朝食で蛋白質の摂取量を確保したり、野菜を摂取する事によってビタミン摂取量を確保する事が脂肪燃焼効果を高めより有効であるとの報告が多くみられます。
単純に考えれば朝・昼食で摂取したカロリーは蓄積する暇が無いうちに消費可能であると言う事です。
問題は間食です。
スナック菓子を中心として所謂スウィーツは高グリセミックインデックス*(高GI)である炭水化物と脂肪が中心ですから思った以上に血糖値を上昇させ、脂肪蓄積の原因になります。そして確実に摂取カロリー過剰になります。

グリセミックインデックス(GI):摂取後体内で血糖値として反映される時間をグルコースを基準として表記したもの。高GI食品は血糖を素早く上昇させ同時にインスリンの分泌も促す。高血糖・高インスリン状態が肥満と大きな関わりを持つ。

実はドリンクも注意が必要です。缶コーヒーやペットボトル製品は糖質制限が表記されていない物(糖質オフ・カロリーオフの記載がない物)ではかなりのカロリー摂取になる事を認識して下さい。ラベルには必ず糖質配合量が記載されているので注意してご覧ください。
もしコーヒーや紅茶を飲む習慣があるならお砂糖は抜きにしましょう。

さて問題は夕食です。アルコールを摂取する方は少しでも制限する必要がある事は言うまでもありませんが、夕食及びそれ以降に摂取したカロリーは燃焼する機会が全く無いことを再認識して欲しいのです。
したがって昼食以上に注意が必要です。全く同じ献立であっても摂取法一つで脂肪になりにくい方法もあるのです。嘗て低インシュリンダイエット法として紹介された方法ですが現在では糖尿病治療の一環としても重要視する専門家も多くいます。


図1初めに生野菜等の繊維質それから蛋白質源である肉・魚類そして最後にご飯やパン等の炭水化物の順に摂取する事が推奨されています。(図1)







図2つまりGIの低い食品から順に摂取する方が良いのです。(図2)
GIが高いと言う事は摂取後血糖値に反映される時間つまりブドウ糖に素早く変化する食品と言う事です。また糖質や脂肪の吸収抑制作用が確認されているサプリメント素材が多く発見されています。作用機序が明らかであり、副作用に重大な問題が無いものを紹介していきたいと思います。 

4)脂肪燃焼のポイント;ダイエットと運動

図3筋肉こそ体内最大のエネルギー消費臓器ですから、これを有効に活用する必要があります。(図3)









図4運動療法は脂肪燃焼の為の有酸素運動と筋肉量増大の為のレジスタンス運動が大切です。(図4)








私は1日30分週4日以上の有酸素運動をお勧めしています。有酸素運動は単なる脂肪燃焼に留まらず、血管平滑筋の緊張を低下する事により高血圧予防にも貢献します。

通常20分以上継続した運動の方が糖質燃焼後の脂肪燃焼を期待できるので有利であるとされています。たとえ20分未満の運動でも数回に分けて行えばそれなりの脂肪燃焼効果が期待できるとの発表があります。これは一度脂肪燃焼代謝回転に突入すると暫く継続するからと言う事です。

図5車のエンジンがすぐには冷めないのと同じ原理ですが、脂肪燃焼代謝突入前では意味がないと言わざると負えません。(図5)
脂肪を燃焼させる為には有酸素運動が効果的である事は誰もが周知の事実です。






図6消費カロリーの増加こそダイエットの根本です。100mダッシュを繰り返すよりも早歩き(時速6km以上程度)やジョギング・自転車・水泳などの運動を20分以上継続して行う事が推奨されています。 運動負荷の程度は最大酸素摂取量から判断するのが理に適っています。(図6)
(160~170)- 年齢 の心拍数を目標に運動する事が推奨されています。脂肪燃焼効果が最も期待できる数値と言えます。





図7ここでまず注意して頂きたいポイントは水分補給法です。(図7)
リニューアル前のWebでもお話ししましたが、有酸素運動中或いは運動終了後にブドウ糖を含むエネルギー補給を行うと直ちに脂肪燃焼代謝が終了すると言う事です。糖質補給を目的としたスポーツ中の水分補給とは根本的に異なるのです。その意味ではミネラルウォーターや麦茶等が理想的であると思います。





間違っても、例え脂肪燃焼効果があるとうたったスポーツドリンクでも決して摂取しないで下さい。何故なら大半の製品にブドウ糖(グルコース)が配合されているからです。せっかく45分間のエアロビクス運動で脂肪燃焼状態になり、放置すればその後も30分以上継続する脂肪燃焼代謝を直ちに終了させる事になってしまいますから。


図8もう一つのポイントは筋肉量を増加させる事です。
最近、特に体幹の筋肉つまり深層筋を鍛える事を、数多くのパーソナルトレーナーが推奨しているのをマスコミでも見かける事が多いと思います。レジスタンス運動と呼ばれる運動で強い抵抗をかけて行くウェートトレーニングとは異なり軽い抵抗でのウェートトレーニングと理解して頂くと良いと思います。(図8)






図9具体的方法論は、多くの発表があるのでここでは述べませんが、睡眠前の軽度のダンベル体操程度でも効果は立証されています。腹筋運動はもっとも基本的な訓練法であり特に内腹斜筋を鍛えるピラティス等がその基本になっています。
中年肥満の原因として筋肉量の低下が指摘されています。脂肪燃焼の70%を担当している筋肉量をアップしてやれば基礎代謝がアップし眠っている間にも脂肪燃焼が期待できるのです。(図9)


参考:
日常生活や単純な運動毎のエネルギー所費量は(図10)の式で計算できます。
補正係数がそれぞれの運動で規定されており(図11)これに体重と時間を当てはめると計算できます。一度試してみて下さい。日常、如何にカロリーを消費していないかが認識できます。

図10図11





参考:注意を要する危険なダイエット法

1. 絶食など極端に食事摂取量を制限するもの。
極端な食事制限は身体にとって良い影響を及ぼす行為ではありません。ホルモンアンバランスを来たし、最悪の状態では食思不振症を発症し社会復帰が困難な場合さえあります。一生継続可能な食事制限でないと最低でもリバウンドを発症します。間食習慣の見直しは必須ですが、主食の制限は最低限度に留めたいものです。

2. 食欲中枢に影響を与えるもの。
これは医薬品であり、過食症の患者さんのみに処方が許されるお薬です。残念ながら心無い施設がネット上でこれを勝手に販売しているのも事実です。必ず医療機関で直接医師の指導の下に内服する事をお勧めします。

3. 下剤が混入されているもの。
必ず痩せられると銘打ったサプリメントに混入されている場合が非常に多く見受けられます。常習便秘で悩まされている患者さん以外は必須栄養素の吸収が抑制されるわけですから健康被害は必ずあります。繊維質以外の成分により便通が良くなるとの効能が記載されているものは要注意です。潜在的脱水状態を助長する事になり、運動と併用した場合等、脱水症状が全身状態を極めて危険な状況に追い込む事も懸念されます。
スポーツのコーナーでもお話ししたように組織の水分量が減少する事は細胞の老化を促進する事になり“ダイエットに成功したがお肌はボロボロになった”など笑い話にもなりません。是非ご注意を。

4. 甲状腺末が混入されているもの。
数年前中国製の製品に甲状腺末が意図的に混入された事が判明し話題になった事があります。基礎代謝を上げ代謝亢進を促すことによりエネルギー使用を増大させる事が直接ダイエットに貢献しますが、甲状腺ホルモンは体内で非常に大切な機能があり、検査データに基づいた微調整が必須です。何々エキスとの記載しかありませんが、作用機序の明らかではない成分は避けた方が安心です。

5. 偏った食品の摂取を推奨するもの。
植物性食品のみの摂取を勧めるダイエット法があります。ダイエットの基本は体内に過剰に蓄積された脂肪の燃焼に他なりません。
サプリメントの項で詳細はお話ししますが、脂肪を燃焼させる場所は細胞内のミトコンドリアです。燃焼工場であるミトコンドリアに脂肪が搬入され効率よく燃焼させる必要があります。ミトコンドリア内に脂肪を搬入するためにはアミノ酸の一種であるカルニチンが必須の成分になります。カルニチンは動物性食品には多く配合されていますが、植物性食品にはほとんど含まれていません。つまり植物性食品のみの摂取でのダイエットは栄養失調状態での脂肪消費という事になります。健康を害するダイエットと言わざるを得ません。

5)サプリメントのダイエット有効活用法

図1食物の栄養成分を吸収抑制することは、ダイエット目的では正しい方法とは言えません。
糖尿病の方は糖質の吸収抑制をする必要もあるかと思いますが(実際治療薬として利用)効果が大きければ大きいほど、病気でない方にはお勧めできません。(図1)
やはりある程度の食事制限と運動は必須である事を忘れないで下さい。
したがってサプリメント活用はいかに効率よくカロリーを消費するか=燃焼させるかにかかっています。
先ほども筋肉が最大のカロリー所費臓器であること、そしてミトコンドリア(図2,3,4)こそ燃焼工場であることをお話ししました。そして私たちの細胞のエネルギー源はATPという物質であり如何に効率よくATPを産生するかがカギを握っています。

図2図3図4











図5この役割を担うのが解糖系・TCA回路(クエン酸回路)・電子伝達系等のエネルギー代謝回路です。(図5)








図6解糖系でグルコースは分解されATPを2個作ります。その後ミトコンドリアに入りあの有名なクエン酸回路(TCA回路)を一回りする間に12ATPが作成され最終的に電子伝達系(別名水素イオンダム)で実に34ATPを作成します。
この電子伝達系の最初の反応に必須の物質が補酵素Q10(CoQ10)です。(図6)








図7CoQ10
CoQ10はミトコンドリア内でATP産生量最大の電子伝達系において最初の反応に必須の補酵素であり、体内合成能は20歳より次第に低下する事が良く知られています。(図7)
(詳細はスポーツ関連のCoQ10の働き参照)









図8CoQ10不足は電子伝達系でのATP産生を放棄する事になりかねません。CoQ10が25%以上低下すると生命に危険があると言われています。
CoQ10の主な働きは図⑧に示しましたが抗酸化物質としての働きはアンチエージング*の項でお話ししています。いずれにせよ包接体の形で摂取しないと吸収率が低いため効果が期待できません。
(詳細はスポーツ関連の包接体CoQ10について参照)







図9ここでダイエットの決め手である脂肪燃焼に最も貢献する三大成分、別名:脂肪燃焼トライアングル(図9)についてお話ししましょう。









図10先述のCoQ10・αリポ酸・L-カルニチンの3大成分こそ脂肪燃焼のキーを握っています。
作用過程は図⑩で示しましたが、CoQ10がミトコンドリアでその威力を発揮する為には先んじてαリポ酸が糖代謝の重要な反応に関与しています。燃焼=酸化である事はアンチエージング*の項でもお話ししましたが、CoQ10もαリポ酸も優れた抗酸化物質であるからこそ脂肪燃焼に貢献できるのです。









図11αリポ酸
αリポ酸は別名チオクト酸とも呼ばれ主に糖代謝を担当するビタミン様物質です。(図11)










図12TCA回路に導入する際アセチルCoAへの反応を促進する他、TCA回路内でも活躍し重要な役割を担っています。CoQ10同様20歳頃から体内存在量が減少する為、補給を怠るといわゆる中年太りになってしまいます。優れた抗酸化物質である事はアンチエージング*の項やスポーツ関連の包接体CoQ10*の項でもお話ししました。
1日推奨摂取量は100㎎と言われ豊富に含まれる食品の代表である、ほうれん草なら600㎏、牛レバーでも60㎏が必要となり、サプリメントとして摂取する方が無難です。(図12)







L-カルニチン
さて(図10)を思い出して下さい。体内の過剰な脂肪を脂肪燃焼の場であるミトコンドリアに搬入するためにはL-カルニチンが必要になります。遊離アミノ酸*であるL-カルニチン(図13)は体内ではリジン・メチオニンから合成されます。ホルモン調節など重要な働きが多くありますが、長鎖脂肪酸をミトコンドリアに搬入可能な唯一の成分です。(図14)





 遊離アミノ酸*;人間の体を構成する20種類のアミノ酸には含まれないが体内に遊離状態で存在し、重要な働きをするアミノ酸

図15動物性食品特に肉類には多く含有されていますが、植物性食品にはほとんど含まれておらず、植物性食品のみ摂取するダイエット法が脂肪燃焼に関係していない事が理解できます。
ただカルニチンそのものが脂肪代謝に影響する働きは無いので有酸素運動の併用は必須になります。(図15)





体重70㎏の成人男性が約16g体内保有していますが、98%程度筋肉内に存在します。
通常アルコール摂取時には活発化する脂肪酸合成反応をカルニチンは脂肪酸分解促進・中性脂肪蓄積抑制に作用する事も判っています。
また運動中の最大酸素摂取量を増加させる事により、運動持続時間の延長を促す作用も知られています。
ただ、化学的に合成されたD-カルニチンは作用が全く異なる為ご注意ください。

図16









カプサイサイン
カプサイシンは唐辛子の辛味成分で、その脂肪燃焼効果は誰もが知るところです。中枢神経興奮作用があり、副腎からのカテコールアミンの分泌を活性化します。このカテコールアミンが肝臓に蓄積されたグリコーゲンをブドウ糖に分解します。
また脂肪細胞では脂肪を遊離脂肪酸に分解する事によりエネルギーとして燃焼されやすい状態にします。ダイエット素材として非常に優れているのですが、胃への刺激性が強く摂取が不可能な方も多くいらっしゃいます。
最近ツエインを使用して腸溶性にし胃への負担を軽くした製品が出現しました。ツエインは非水溶性で、アルカリ性領域でのみ蛋白分解酵素により溶解される蛋白質です。錠剤のコーティングや結合剤として使用する事により腸溶性の錠剤を可能にしました。




各種ビタミン・ミネラル
炭水化物・脂肪・蛋白質等の栄養素を代謝するためには様々なビタミンやミネラルが必要な事は皆さんご存知の通りです。ビタミンB1は炭水化物の分解に、B2は脂肪代謝にB6は蛋白質代謝に深く関わっている事は良く知られていますが、B12も含めてB群として一括摂取した方が効率が良い事も忘れてはいけません。それぞれの働きはここでは解説しませんので、興味のある方はスポーツ関連のページの特別講義:スポーツ選手の食事をご覧ください。
またセレン酵母や亜鉛酵母細胞の新陳代謝に関係してダイエットに貢献します。



私の推薦するサプリメントはL-カルニチン、CoQ10包接体、αリポ酸、カプサイシン、ツエイン、ビタミンB1・B2・B6・B12、葉酸、βカロチン、ビタミンC、ビタミンE、セレン酵母、亜鉛酵母等をすべて配合した優れもので、非常に多くのリピーターがその効果を絶賛しています。
何度も言いますが、運動との併用が非常に大切です。